2017/09

01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30

<< >>


スポンサーサイト

  • -
  • スポンサードリンク
  • -
  • -

一定期間更新がないため広告を表示しています


八人目の婿さん

むがすむがす、ずうっとむがす。
 えれぇ金持ちの長者様の家(え)に
  年頃の娘っこ居(い)で、
婿をとっても婿をとっても、次々に出て行くんだど
 こいづ、聞いた、水飲み百姓の若ヶ者
今で言うセレブ、長者の跡継ぎになれるつうごどで
「命とられるわけでねぇ、飲まず食わずの小作人の息子だぞ!
死ぬ気でつとめたらオレだってつまるがもしゃねぇ」って
勇んで、長者様の所(どご)さぁ行ったんだど
喜んで迎えられて、一晩二晩経って---。
娘が白装束に身を固めて
「あんだ本当にわだしと添いたいならば、わだしの言うとおりにしてけろ、まずはわだしについてきてけろ」
そしてお墓の方さぁずんずん行くんだど
新しい土盛りさぁ行って土掘っくり返して、掘っくり返して---。
ズッポと白い青ざめた手引っ張り出して
ドッサと死体を地面に置いて
「これ背負え(おぶえ)背負え(おぶえ)」と言うんだど
(なっ何やぁ死人(しびと)背負えってか!みんなこれで動転(ドデン)してしまったんだな)若ヶ者!一瞬!目を背けたけど
歯をギリギリ食いしばり天を仰ぎ「貧乏からはい出るんだ」と
背負って長者の家(え)まで帰(け)ったんだど

「そこさぁ 下ろせ」と竈(かまど)の側に下ろさせで
そして若ヶ者の目をキッ見つめで、
若ヶ者に娘の並々ならぬ気迫が伝わってきて---。
娘は、大鍋をヨッコラショと持って
竈に置いて蓋(ふた)取ったらば---。
中に血のようなドロドロしたものが入っていて
鍋さぁ、出刃包丁でジョっキジョっキと死人の腕切って
入れて。グズグズ煮はじめて
そしてそれにかぶりついてムシャムシャ食ったんだど、
口の周りは血糊がまっ赤についてまるで鬼女(おにおんな)!
そして若ヶ者に「お前(め)も食え!」って
口の血糊を手でぬぐった痕はまるで人を食った鬼だった

若ヶ者の手はカタカタと震えながら椀を持ち死人(しびと)の
肉を箸でつまんだら餅のようにのび
口に運んだら思わず若ヶ者叫んだ!
「うめぇちゃ!なんだ!餡餅だちゃ!」
血と思ったのは小豆あんで死人の腕と思ったのは、白い餅だったちゃ! 娘は笑みを浮かべ椀(わん)に餅をすくってやると
「あんだこそ わだしの婿だちゃ」と
若ヶ者の額の汗をぬぐった
長者様も出てきて
「お前(め)肝玉の座った野郎だ!うんそれくらいでないと大(お)っきな家(え)の跡取りなんかやれねぇんだ!お前、オラ家(い)の小作人だきとも跡取りにすっから!小作の時の経験を活かして無駄のないように家(え)の切り盛りしてケロ」
その後、若ヶ者は農学だの算術なんかを勉強して新しい田を次々に開田して小作人もみんなみんな栄えたんだど。
八人目で、やっと婿、見かったので、このことから「娘一人に婿八人」って言うようになったんだど
 こんで よんつこ もんつこ さけた
(みやぎの昔語りの終わりの決まりセリフ・特に意味はない)


スポンサーサイト

  • 14:06
  • -
  • スポンサードリンク
  • -
  • -


comment









trackback